<p align="right"><span class="small-text">公開日: 2024-11-21<br>更新日: 2025-2-6
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# 書籍:杉山登志郎『発達障害のいま』
著者:杉山登志郎
書名 : 『発達障害のいま』
出版年 : 2011年
詳細 : https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000210602
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あまりにも熱心で強引で強力なスポンサーシップは、上記抜粋にある「強力な行動療法的療育」がASD児童にもたらした結果と同じような結果をスポンシーにもたらすことがあるのではないかと、これまでを振り返って感じる。
AAにとっても不可欠な指摘のため、抜粋。
> この現象(引用者注:タイムスリップ現象)を報告した当初は、自閉症者に突然生じる想起パニックを説明できる手がかりになるといった程度の認識であった。だが次第に、この現象の持つ重みが筆者自身にもみえるようになった。
> たとえば、自閉症児に対する強力な行動療法的療育をおこなうことで高名であったある療育教室の卒業生たちにおいて、一〇年以上を経た青年期になると高い確率で想起パニックが頻発していた。
> 今から振り返ると、強力というよりも体験世界を無視した強引な療育であったことが明らかなのであるが、自閉症の敏感さや過敏性を無視した対応は、そのときにはなんら副作用もみられず成果を上げたようにみえても、数年後、時には十数年後にタイムスリップ現象の頻発という形で重篤な副作用を生じるのである。
> 自閉症スペクトラムの児童、青年は激しいいじめを学校で受けることがいまだに多い。その時点では比較的けろっとして反応が乏しいのにもかかわらず、現実にはいじめが収束したはるかあとに、強烈なフラッシュバックが連続し、その後の対人関係を著しくゆがめてしまう。[^1]
[^1]: ibid., 147-148.