<p align="right"><span class="small-text">公開日: 2024-11-21<br>更新日: 2024-12-03
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# この8ヶ月
去年の6月あたりから自分のステップワークでいろいろな危機感を感じ始めました。それはスポンシーとのステップワークの中で、自分のプログラムの解釈の限界と欠点を強く感じ始めたからでもありますし、それによって自分のソブラエティが危機を迎えている感じがあったからでもありました。
そんな中で、ビッグブックを学び直し、教えてもらう中で見えてきた大切なことがあります。それは12ステップは<span style="text-decoration: underline; text-decoration-color: #ADD8E6; text-decoration-thickness: 4px;">「自分のなりたい自分に自分の力で一生懸命なろうとするプログラムではない」</span>という当たり前の事実でした。これに気づいた時は、けっこう衝撃だったのを覚えています。なんでこんなシンプルなことに気づかなかったんだろうと。
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さて、そこから自分のステップワークを遡って、古いものを捨てることを続けていたのですが、そんな中でいくつかのミーティングに出ていると感じることがありました。それはあまりにも多くの人が、<span style="text-decoration: underline; text-decoration-color: #F5A9A9; text-decoration-thickness: 4px;">12ステップを使って強迫的にいい人になろうと努力しているのではないか</span>、ということです。
W.ジェイムズの『[宗教的経験の諸相](https://www.iwanami.co.jp/book/b246798.html)』を読んでもらえればわかるかと思うのですが、12ステップを経て得られる霊的体験・霊的目覚めを契機とした回復は、多様性があり、豊かで奥深い人格の変化を人にもたらすものです。しかし、強迫的にいい人になろうとすると、多くの人が同じようなことを言うようになり、同じような印象になっていってしまうことがとても残念でした。なんかどこか無理があって、苦しそうだし。
AAは、ビックブックにある沈没した豪華客船のたとえにあるように、アルコホリズムという共通の問題と、霊的体験・目覚めという共通の解決を共有する共同体です。そのメンバーは様々な社会階層や地域の違いなどがあり、とても多様です。ビッグブックにあるように、私たちはアルコホーリクになり、AAに来なければ知り合いにもならなかった人間の集まりな訳です。
そのような、アルコホリズムという共通の問題以外に共通点のない、多様なメンバーが共通の解決を得て、そこから多様な回復を生きていくことがAAの強みだし、それによってAAは一体性を保ちながらも成長してきました。(詳しくはE.カーツ『[アルコホーリクス・アノニマスの歴史(Not-God)](https://www.akashi.co.jp/book/b532858.html)』を読んでください。)
僕がこの8ヶ月ほど感じていた新たな危機感はここです。多くの人が12ステップを<span style="text-decoration: underline; text-decoration-color: #F5A9A9; text-decoration-thickness: 4px;">「自分のなりたい自分に自分の力で一生懸命なろうとするプログラム」</span>と理解し、そのようにステップワークをしていると、AAの多様性は失われてしまいます。なぜなら、そこではAAメンバーそれぞれが自分なりに理解した「自分を超えた力」を頼る必要がないからです。ステップ2が多様性ごと失われてしまうということです(ここは『諸相』スタディで詳述中)。
そして、強迫的にいい人を演じようとすると多くの人が、周囲の評価を強く気にするようになる傾向があると感じています。そうやって、共同体の中の自分の評価にばかり視線が向いて、AAメンバーがどんどん萎縮していってるのではないか・・・。
それでは、AAが今苦しむアルコホーリクにメッセージを運ぶ力と能力は失われていくばかりだと感じましたし、助かるアルコホーリクも助からなくなっていくばかりだとも感じました。AAは「今苦しむアルコホーリクにこのメッセージを伝えたい」という、メンバーそれぞれの情熱が共同体の基礎になっているからです(ステップ12)。そんなふうに萎縮していては、メッセージを伝えるために伝統を破ることさえできなくなっていきます。
そんな危機感と焦りと苛立ちから記事を書き、また発信をしてきたわけですが、僕のそのメッセージが必要な人に届いていたのかは分かりません。AAの解決は求める人に対しての解決であって、求めない人にはどうしても届かないものなので、そこは自分の領域ではないと考えています。
ですが同時に、いまだ解決を知らないアルコホーリクにAAの解決を知ってほしい、そしてそれを得て、多様な回復を生きていってほしいと今も願っています。それを求める人は、必ずいるはずなのですから。
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さて、メッセージを発するというのは結構疲れるもので、この半年以上、結構僕も疲れました。危機感と焦りが強かったので、まとめて記事で発信をするような形ではなく、小分けにした情報を発信し続けるというスタイルをとったので、余計に疲れました。まだそこまで、情報をまとめる能力が僕自身にないものあります。
ここ最近は読書なども再開できるようになってきましたので、ちょっとそっちや自身のレクリエーションなどの楽しい作業にエネルギーを使わせてもらおうと思っています。1年以上続けている『諸相』スタディも、ついに結論の大詰めですし、そちらも楽しみです。
引き続き、12ステップやビッグブックに関心を持って学ぼうとする方々とスタディ・ミーティングなどで会えるでしょうし、またこれからも引き続き[AAトピック・スタディ](https://note.com/shima_2019/m/mdfd39d84dfc7)をはじめとして、noteの記事も書いていきます。みなさんとミーティングで、または記事を通してお会いできることを楽しみにしています。
最近のつれづれでした。