<p align="right"><span class="small-text">公開日: 2024-11-21<br>更新日: 2024-11-21 </span></p> # 灯りと道程 滋賀は雪が降ったり止んだりです。ここ1ヶ月ほどはPC周りなどの事務環境を整えるのに熱中していました。皆さんいかがお過ごしでしょうか(ラジオ風)。   今回は今考えている「これから自分に何ができるのか」という問いについて書いていこうと思いますので、お付き合いください。 &#13;&#10; &#13;&#10; <center>・ ・ ・</center> &#13;&#10; 僕がAAにやってきたのは2019年の晩夏の頃でした。最初のホームグループは人の入れ替わりが激しく、いろんな人が通り過ぎていくグループでした。そんな中でAAでの生活が始まってもう2年以上経ったのですが、滋賀の片田舎でAAと触れ合う中で、色々と感じることもありました。 考えてみると、2020年前後からは、日本の最初期のAAを創ったメンバーがこの世を去っていくような時期だったと思います。誤解を恐れずに言うと、いままでのAAというものがなくなっていく時期なのだろうと感じています。 &#13;&#10; &#13;&#10; そんな時期である19年にAAに来るようになった僕は当初、ミーティングやパンフレットで「12ステップ」とか「AAプログラム」とか「ビッグブック」とかが時たま言われることは知っていました。 しばらくすると、AAには「言いっぱなし、聞きっぱなし」のミーティング以外に、スポンサーシップや12ステップといったものがあるということもわかってきました。しかし、僕のグループにスポンサーを持っている人も、スポンシーを持っている人もいませんでした。 そこでネットで情報を探したり、SNSで知り合ったAAメンバーから話を聞いて、どうやらビッグブックというものが大事で、それに基づいたステップをしている人たちの集まりがあるらしい、ということを見聞きするようになりました。いわゆるビッグブック派といわれるAAの中での流れですね。 そして、そういったツテをたぐって、スポンサーを得て、いろいろ途中経過は省いて今に至るわけですが、今の僕の自己認識としてはいわゆるビックブック派の端っこあたりにつかまってぶらーんと揺られているように感じています。 &#13;&#10; &#13;&#10; そんな環境にいて、わかってきたこともあります。日本のAAを最初に作った創成期のメンバーたちは、AAというほぼ全国にあるような「器(うつわ)」をつくってくれたのだということ。その器の中にビックブック派と言われる人たちがステップという内容を持たせようと努力を続けてきたこと、そんな経緯や事情がおぼろげながら伝わってきました。僕はAAヒストリアンではないので、あまりそこらへんの経緯を詳しく探求していませんから、あくまで印象と言ったところですが。 ビッグブック派のみんなは、全国でビッグブックを使ったステップワークというものを広め、根付かせる努力をしてきてくれたように感じます。それは、創成期のメンバーが創った日本のAAという器に、ビッグブックという中身を盛り込もうとするムーブメントだったのでしょう。 &#13;&#10; &#13;&#10; <center>・ ・ ・</center> &#13;&#10; 2019年からはAAにとって大きな出来事がいくつもありました。E・カーツ『アルコホーリクス・アノニマスの歴史』が翻訳出版されたことや、コロナ禍でのオンラインの広がりはAAにとっても僕にとっても2つの大きな出来事でした。 地方に住む身としては、そういった情報と機会に恵まれたおかげで、AAの源流の一つであるウィリアム・ジェイムズの『宗教的経験の諸相』というテキストにも出会えましたし、全国のAAメンバーと交流することもできるようになりました。オンラインでスポンサーシップを成立させることが当たり前になったので、僕自身もスポンシーを見つけることもできました。 そういった目まぐるしい変化の中にいて、感じたことがあります。それは、**ビッグブックだけを日本に移植しても、ビッグブックの内容は読み解けない**のだということです。どんなテキストにもそのテキストを成立させた前提というものがあり、その前提への理解なしにテキストを読み解くことはできないのです。 同時に、自分の狭い動きながら、オンラインのミーティングをまわって気付かされたのは、<span style="text-decoration: underline; text-decoration-color: #F5A9A9; text-decoration-thickness: 4px;">ビッグブックは広まったけれど、ビッグブックを読み解くのに必要不可欠なAAの源泉への理解と関心は広まっていない</span>ということです。 &#13;&#10; &#13;&#10; 日本のAAのパイオニアたちがAAという器をつくり、ビッグブック派の先ゆく仲間たちがその器にビッグブックという内容を盛ってくれたのなら、その後から来たオンライン世代の僕は、そのオンラインというAAにとっては新しいツールを使って、プログラムを求める人がAAの源泉への理解を深める手助けをしたいと感じるようになりました。そんな思いがあって、『諸相』スタディを続けてきた面もあります(もちろん、違う目的もあります)。 それが実っているか実っていないかは、まだ1年ほどしかやっていないのでわかりません。ですが、これからもそのような動きを継続しながら、新しい取り組みを始めていきたいと願っています。与えられるものは多いのだけれど、求める人は少ないのではないかと、弱気になる時もあるのですが。 &#13;&#10; &#13;&#10; <center>・ ・ ・</center> &#13;&#10; さて、そんなことを軽く総括する機会があったので考えていて、では次に自分に何ができるのかを、今まさに考えているところです。ですが、その明確な答えは今は出ていません。自分だけでできることは少ないので、そんなもんなのでしょう。 ですが、今までと変わらないのは、共にビッグブックを学び合える人をこれからも求めていくということです。自分だけで学べることって、少ないものですので、求め続ける必要があると感じています。 そういった人との出会いの中で、自分がやるべきことが見えてくるのではないかと思っています。なので、これからもできる範囲で、いろいろと動いていきたいです。 状況はいつも変化を続けるし、その中で自分が何をするべきなのかは、問うていかなければなりません。僕なんかはかなり変化が苦手なタイプなのですが「自分が助かりたかったら、他の人の手助けをせよ」というシンプルな原理は、ずっと僕たちAAメンバーを導いてくれていると感じています。人の手助けがしたかったら、どうしても対応しなければいけない変化はたくさん出てきますよね。 社会の中で頭にバケツを被って歩いているような僕たちには、そういった道しるべのような灯りが、どうしても必要なでしょう。霊的な原理は、とても現実的なものですね。