<p align="right"><span class="small-text">公開日: 2024-11-21<br>更新日: 2024-12-28 </span></p> # 恐れについて 今日は滋賀は雪が降りました。かなり積もったので軽く雪かきしましたが、汗かきましたよ。 --- ### この一年半 さて、スポンサーとのステップワークが終わったのが昨年の6月でした。「このプログラムを今苦しむアルコホーリクに手渡すように」みたいな指示とともに終わったので、僕はそこからスポンシー探しを始めました。 しかしやってみて実感しましたが、スポンシーを見つけるのって大変なのです。ミーティングを回ったり、オンラインB2Bをやったり、地区のサービスの役割を引き受けたり、OSMに参加したり、自分たちでオンラインミーティング開いたり、いろいろ試みましたが、これがまた大変なんですね。しかもなかなか見つからない。んで焦る、苛立つ。 ですが、スポンサーも他の人たちも「スポンシー見つけてプログラムを教えてなんぼじゃ」みたいなこと言うので、かなり焦ってイライラしながらスポンシーを探し続けましたよ。 &#13;&#10; &#13;&#10; そんなこんなで、これまで数人のスポンシーを持つことができてプログラムを教えることができているわけですが、いろいろやっていると人からの評価や批判を気にかける時も出てきます。僕自身がバランスの取れた人間ではとてもじゃないけどないので、そりゃそうです。 そういったわちゃわちゃの中で感じてきたことは、「恐れ」については「恐れを感じること」そのものが問題なのではなく「何を恐れるか」が問題なのだろうと言うことです。 ### 恐れそのものというよりも  「恐れ」というのはそもそも神が人間に与えてくれているもので、それそのものが悪いわけじゃないですし、恐れは生存にとって必要不可欠なものです。ですが、人は神から与えられた「恐れ」という感情を誤用するものです。その時、私たちは神との間に「恐れ」という障害物を置いてしまい、神を意識することができなくなってしまいます。 そうなると、どうなるでしょうか。 人は神との関係を意識しなくなった時、容易に人の評価や批判に対して身動きができなくなってしまうものです。 &#13;&#10; &#13;&#10; > 私たちはこの世の中や世間の人たちの圧力に身動きが取れなくなっていたことが見えてきた。そのような状態では、他人が何か悪いことをするとーー実際に悪いことをしたのか、単なる自分の思い込みかはともかくーーそれが自分を殺すほどの威力を持ってしまうのだ。[^1] &#13;&#10; 最初の一文は明らかに誤訳というか、なんというかなのですが、つまり「私たちは、世の中や人々が本当に私たちを支配していることを理解し始めた。」でいいと思います。 恨みにしろ恐れにしろ、私たちの行動を変えてしまう力を持っています。社会や人々を恨み恐れる生き方は、恨み恐れている人々に自分を支配されている生き方である、ってことですね。これは神に導かれる生き方ではなく、自分の恨みや恐れに導かれる生き方と言えるでしょう。 そして、12ステップによる自分の掃除が進んでいきますと、私たちは自分なりに理解できる神を意識することができるようになってきますので、以前のようには人の目も気にならなくなってくるものです。まぁ、逆に神、神ばっかで気にならなさ過ぎも大きな問題なのですけれども。 そしてわかってきたことがあります。それは、自分にとって大きな問題だったのは、「恐れ」そのものというよりも、神が与えてくれた「恐れ」という有益な感情を使って、恐れるべきものを恐れるのではなく、恐れてもどうしようもないものばかりを恐れた結果として、トラブルが絶えなかったということです。 それはまさしく、自分の意思(考え方)による「恐れ」の誤用なのでしょう。12ステップを使う中では、自分が恐れるべきものを、ハイヤーパワーに頼りながら恐れる必要があるのだろうと今は感じ始めています。 ### 何を恐れるか 自分のことを考えても、この1年と半年の間は人からの批判を恐れると言うよりも、なにもせずに知らず知らずのうちにスリップに近づいていって、いきなり大変なことになってしまうことを恐れてきました。こういったケースは、実際に僕の周りで何度も起きています。一見順調に、それっぽく回復しているように見えるのだけれど、いきなり、と言うパターンです。 それはAAの原理を実践するよりも、自分の外面を人の評価に合わせて繕うことを優先することによって引き起こされる要素が強いのだと、僕には感じられています。AAの原理は「自分に対して嘘をついて、人に対して回復を装え」とは言っていないのです。 ですので、人からの評価も批判も確かに怖いっちゃ怖いのですが、AAの原理から外れて死んでしまうことの方がもっと怖かったので、ひーひーいいながらも自分が助かるためのAAの方法をやってきました。それは僕にとって最も怖いこと(飲んで死ぬこと)を避けることに欲深く忠実であろうとしたということです。プログラムってのは、自分が助かるためにやる欲深で利己的なもんですね。 同時に、何らかの批判があった場合にはそれを「神との関係が大事だから」と無視するのではなく(それじゃカルトだ)、他者から見た自分の一面として受け止めていく姿勢も大切だと考えてきました。その姿勢をしっかりと保ち続けられた自信と事実は、無論ありませんが。 &#13;&#10; &#13;&#10;  そんなこんなを年末に振り返って考えていました。そして今、実感として感じるのは「恐れ」を感じることが問題なのではなくて「何を恐れるか」という問いがとても重要だということです。その問いを通して、ハイヤーパワーは、人の恐れを使って人を導くこともできるのでしょう。少なくとも僕は、そう感じています。 ### 大切な問い 僕たちAAメンバーが最も恐れることは、一体なんでしょうか。自分に正直に問いかけてみることは、飲まないで生きる上でとても大切なことだと思います。 そこで自分に正直になれなかったら、プログラムがうまく働かなくなってしまうのではないでしょうか。この問いはそんな、とてもとても大切な問いなのだと感じています。 あなたは何を一番恐れていますか? [^1]: AA, 2024, 『[アルコホーリクス・アノニマス](https://ieji.org/glossary/bigbook)』 AA日本出版局訳, JSO, 97.